Omron logo

Environment 環境

生物多様性の取り組み

生物多様性の方針

生物多様性の方針

オムロングループ生物多様性方針

基本方針

20世紀半ば以降、地球規模で生物多様性の損失が加速度的に進んできました。オムロンはこれを阻止することを目的に、企業の社会的責任の一環として「事業活動」と「社会貢献活動」の2つの側面から、生物多様性の保全に取り組みます。また、この取り組みを確実にするために「関係者との連携」「客観的な効果測定の重視と継続的な改善」「発生するリスクの低減と社会全体で共有しうるメリットの最大化」の3点に留意します。

行動方針

  1. 事業活動の側面において
    ①ソーシャルニーズの創造
    ②環境保全活動や、環境マネジメントシステムに基づく取り組みの推進
    ③バリューチェーン全体を通じた実践
  2. 社会貢献活動の側面において
    ①社会からの信頼向上を主眼とした活動
    ②社員の生物多様性保全へのモチベーション向上を主眼とした活動
  3. ステークホルダーとのエンゲージメントにおいて
    ①協業企業との対話を重視した活動
    ②様々なステークホルダーとのエンゲージメントの推進

以上を重視し、活動を展開していきます。

オムロングループ生物多様性方針策定のプロセス

オムロンは、国際NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)との協働プロジェクトで、生物多様性方針を策定しました。
CIには、「なぜ生物多様性保全に取り組むのか」という本質的な議論に加え、方針・取り組みを考えていく上で、「妥当性」「有効性」「効率性(貢献性)」という観点を基本に考えるべきだと指摘をいただきました。 こうしたプロセスを経て、「企業というものは人間社会の上に成り立っているが、人間社会は自然社会の上に成り立っている。オムロンでは、生物多様性の保全をより良い社会実現のためのサステナビリティ活動の基盤として考える」という結論に達しました。カーボンニュートラルの実現を通じて地球温暖化問題に取り組み、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステムづくりに貢献することを目指すなど、「自然との共生」はオムロンが取り組むべき重要な環境課題であると捉えています。

※ コンサベーション・インターナショナル(CI)
自然生態系と人とのかかわりを重視して環境問題を解決することを目的に設立された民間非営利の国際組織(NGO)。科学、パートナーシップ、そして世界各地での実践に基づき、次世代に豊かな自然を引き継いでいく社会を実現し、人類の幸福に貢献することをミッションに活動している。

生物多様性の取り組み姿勢

オムロンでは、気候を安定させ、水をきれいにし、空気を浄化し、廃棄物を削減することなどを通じて健全な生態系を維持し、生物多様性の保護に努めています。
気候の安定においては、積極的に脱炭素化に取り組むとともに、TCFDの要請に基づき、有価証券報告書等への情報開示の強化にも努めています。水資源の管理においては、生物多様性に配慮した事業所の水管理の推進や、事業活動における環境負荷の低減を目指して活動を進めています。さらに、生物多様性に配慮した水管理ガイドや生態系に配慮した水管理評価ツールを用いて、持続可能な水資源の利用と生物多様性保全の両立に向けた水管理の新たな取り組みの普及を目指しています。また、廃棄物の削減に取り組み、使用する資源の最小化と効率化により廃棄物の発生を削減しています。加えて、リユース、リサイクルを拡大し再資源化を推進することで生物多様性に貢献します。
自然との関わりの中で、オムロンにとって課題の一つが水です。そのため、地域ごとに水リスクのアセスメントを行い、リスクの有無やリスク影響度を把握しています。リスクについては、国際環境NGOである世界資源研究所(WRI)の「Aqueduct Water Risk Atlas」などを用いて評価を行いました。また、廃棄物や有害化学物質の自然界への影響も理解し、厳格な管理を行っています。
当社が環境から受ける影響の一面として、森林が減ることで貯水機能が低下して洪水被害を受けることなどがあります。一方、当社が与える影響としては、土壌・地下水汚染などが想定されます。そのため、必要に応じて専門チームを編成し、浄化対策策定のための調査や最適な浄化技術の検討を行っています。
これらの影響は自社事業のみならずその周辺地域にも及ぶことから、適切な影響の把握に努めています。加えて、協業するサプライヤーにもサステナブル調達ガイドラインなどを通じて環境保全をお願いするとともに、特に重要なサプライヤーにはRBAで求められる要件を達成することを共通目標にしています。

野洲事業所は、マザーレイクと称される琵琶湖がある滋賀県に立地しています。2021年9月末まで半導体・MEMSを製造する工場を有していたため、環境には特に配慮して排水を浄化後、河川に放流していました。その工場排水を有効活用し、2011年に造成したビオトープ※1で、環境省が絶滅危惧IA類に指定しているイチモンジタナゴ※2の保護・増殖を行ったり、近隣の学童保育所や小学校の児童向けに自然観察会を開催し、子供たちへの環境教育にも貢献してきました。その結果として、滋賀県が生物多様性の保全や自然資源の持続的な利活用を評価する「しが生物多様性取組認証制度」では最高認証である三ツ星を取得しました。

しかしながら、2021年10月に半導体・MEMS事業が別会社に譲渡され、併せてビオトープの敷地も譲渡対象となったため、従来のようにビオトープを活用した生物多様性の取り組みは出来なくなりました。

  • 生物多様性びわ湖ネットワーク参画企業(五十音順)
    旭化成株式会社、旭化成住工株式会社、積水化学工業株式会社、積水樹脂株式会社、ダイハツ工業株式会社、株式会社ダイフク

BBNでは、滋賀県に拠点を持つ企業7社(オムロン含む)が共同で、水と深い関係があるトンボを共通の指標生物とし、これまで県内で確認がある100種のトンボの調査、保全、発信の3つのアクションを活動の軸として取り組んでいます。2021年度は、地域の子供たち向けにトンボの観察会および標本作りの開催や、琵琶湖博物館様との共催で約1か月間の企画展示会を開催し、これまでの取り組みを多くの人に伝える機会となりました。これらの活動が評価され、「日本自然保護大賞2021」では教育普及部門にて大賞を受賞することができました。

野洲事業所独自の活動として、滋賀県レットデータブック2020年度版で希少種に指定されているトンボ『マイコアカネ』の保全・復元(モニタリング、保護増殖、生息地の改善)に注力しています。近年、マイコアカネは滋賀県において生息地や生息数が減少していますが、野洲事業所構内では毎年飛来が確認されており、飛来状況の調査を継続的に実施しています。また、事業所内にコンテナビオトープを創出し、繁殖地の創出や採卵した個体を用いて保護増殖する取り組みを行っています。マイコアカネの生息地の一つである野洲川河畔林では、2021年度に、野洲事業所の社会貢献活動の一貫として、従業員参画のもと、地域の方と連携し、トンボの繁殖地の環境改善と新しい生息地の創出を行いました。

これまでの取り組みで、事業所の緑地は地域の自然の一部となっていることがわかりました。これからも、事業所の緑地を活かして、地域個体群の保全に取り組み、希少な種や地域の在来種の保全を推進するとともに、地域や他社との協働による環境保全の環を広げていきます。
そして、今後、オムロンは、当社およびサプライチェーンにおいて、重要な生態系や重要性の高い動植物の生息地周辺での事業活動を回避・最小化するための方針を検討していきます。

野洲事業所マスコットキャラクタータナゴちゃん
野洲事業所マスコットキャラクター
タナゴちゃん
写真:ビオトープ「ぼてじゃこの池」
ビオトープ「ぼてじゃこの池」
(「ぼてじゃこ」とはタナゴ類の愛称)
写真:繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
写真:イチモンジタナゴ
イチモンジタナゴ

※1 ビオトープ
ドイツ語の「生物」を意味するBioと「場所」を意味するTopの合成語で、野生動植物が生息する空間を意味する。最近は、生態系としての森林や川、沼、湿地、草地、雑木林の総称としても使用される。日本では人為的に造り出したものの意味で使用されることが多い。(「生物多様性読本」日経エコロジーから引用)

※2 イチモンジタナゴ
コイ科の淡水魚で、環境省のレッドリストでIA類(もっとも絶滅が危惧される種)に指定されている。体側には青緑色の長い縦条があるため、イチモンジの由来となっている。もともとは琵琶湖淀川水系等で多数生息していたが、外来魚の増加や河川改修により、今では琵琶湖ではその姿を見ることはできない。

写真:希少種のマイコアカネ
希少種のマイコアカネ
写真:自然観察会
自然観察会
写真:"野洲事業所マスコットキャラクタータナゴちゃん"
野洲事業所マスコットキャラクター
タナゴちゃん
写真:ビオトープ「ぼてじゃこの池」
ビオトープ「ぼてじゃこの池」
(「ぼてじゃこ」とはタナゴ類の愛称)
写真:繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
写真:イチモンジタナゴ
イチモンジタナゴ
写真:希少種のマイコアカネ
希少種のマイコアカネ
写真:自然観察会
自然観察会

PDFファイルをご覧いただくには、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerはアドビシステムズ株式会社より無償配布されています。

オムロン株式会社 サステナビリティ推進室, オムロン株式会社 グローバルビジネスプロセス&IT革新本部 IT革新センタ SCMアプリケーション部, オムロン株式会社 グローバルインベスター&ブランドコミュニケーション本部 デジタルコミュニケーション部, オムロン株式会社 グローバルリスクマネジメント・法務本部 リスクマネジメント部, オムロン株式会社 グローバルものづくり革新本部 環境革新センタ, オムロン株式会社 グローバルものづくり革新本部 品質革新センタ, オムロン株式会社 グローバルものづくり革新本部 購買プロセス革新センタ, オムロン株式会社 グローバルものづくり革新本部 購買プロセス革新センタ 購買戦略部, オムロン株式会社 グローバルものづくり革新本部 購買プロセス革新センタ企画グループ, オムロン株式会社 グローバル人財総務本部 企画室, オムロン株式会社 グローバル人財総務本部 企画室 内部統制課, オムロン株式会社 グローバル人財総務本部 内部統制課, オムロン エキスパートリンク株式会社 総務センタ リスクマネジメント部 , オムロン株式会社 グローバル理財本部 経理部, オムロン株式会社 グローバル理財本部 財務部, オムロン株式会社 取締役室, オムロン株式会社 インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 人財戦略室, オムロン株式会社 エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネスカンパニー 経営戦略部, オムロン エキスパートリンク株式会社 総務センタ 近畿エリア統括部, オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社 リスクマネジメント・法務室, オムロンソーシアルソリューションズ株式会社 CSR部, オムロンソーシアルソリューションズ株式会社 品質環境センタ, (GMI)品企画