統合リスクマネジメント活動により、グローバルで取り組むコンプライアンスとリスクマネジメントについてご紹介します。
コンプライアンス・リスクマネジメント
オムロングループでは、「オムロングループ統合リスクマネジメントルール」に基づき、コンプライアンスとリスクマネジメントをグローバルに推進しています。具体的には、コンプライアンスリスクを含め当社グループに関わるリスクをグローバルで広く洗い出し、分析の上、重要リスクを指定し対策を行っています。
また、重大なリスクが発現した場合には緊急対策本部を立ち上げ、組織的に対処しています。さらに、現場のリスク情報を迅速に把握するため、リスク報告制度と内部通報制度を整備し運用しています。
統合グローバルリスクマネジメント方針
統合リスクマネジメントの基本方針は、取締役会にて決議した「内部統制システム整備に関する基本方針」の中で以下のように定めています。
オムロングループでは、「企業倫理リスクマネジメント委員会」を推進組織とし、コンプライアンスとリスクマネジメントを不可分一体のものとして活動を行っています。同委員会では、本社・各カンパニーのメンバーのほか、海外エリア本社のメンバーも加え、四半期ごとにさまざまな対策の協議・実行などを行っています。
また、国内外のグループ会社において、コンプライアンス・リスクマネジメントの推進者である「リスクマネージャ」を選任しています。そのグローバルなネットワークを利用して、日常的なリスク情報の共有、対応の協議などを迅速に行い、社内外の環境変化に対応した対策を、現場と経営が力を合わせて実施しています。
なお、これら重要リスクに対する取り組みを含むリスクマネジメントの実行状況は、定期的に執行会議や取締役会へ報告しています。
2011年に策定した長期ビジョンVG2020の開始とともに、現在の統合リスクマネジメントがスタートしました。経営・事業を取り巻く環境変化のスピードが上がり不確実性が高まる中、リスクへの感度を上げてリスクが芽のうちに手を打っています。
事業がグローバルに拡大すると、様々なリスクに直面します。そのため、経営や財務状況に影響を及ぼしうるリスク全般を分類し、その相互関連性を把握しています。(詳細は「事業等のリスク」参照)
目指す姿は、現場だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、現場と経営が力を合わせて解決するリスクマネジメントです。そのため、過去の事例を将来に活かすための資産として、事業リスク事例集「OMRON Risk Book –Risk Scenario 100」を作成し、経営層に説明する取り組みも始めました。経験していない事例を他山の石として、日頃からリスク感度を高めています。また、中期経営計画VG2.0においては、イノベーションの創出を支える事業リスクマネジメントにも挑戦しています。
また、万一危機が発生した場合には、社内ルールに則りリスクレベルに応じた報告先に即時報告が行われ、Bad News Firstを実現しています。さらに報告されたリスク情報を一元把握し、必要な対策を取り、再発防止まで確実に追える仕組みを構築しています。
2019年度においてもグローバルでリスク分析を行い、当社グループにとって重要なリスクを選定し、それらのリスク対策の主管部門を定め、計画的にリスクへの取り組みを推進しました。
具体的には、最重要リスクとして「危機対応の失敗」「グローバル情報・ITセキュリティ」「品質問題」、次に重要なリスクとして「製品コンプライアンス」「地政学・カントリーリスク」「新興国会社管理の脆弱性」などといったリスクを設定しました。
リスク対策として、「危機対応の失敗」リスクに対しては、クライシスコミュニケーションやメディア対応の訓練、SNSモニタリングによるレピュテーションの早期察知など、リスク対応力の更なる強化に取り組みました。
次に、「グローバル情報・ITセキュリティ」リスクに対しては、近年増加するサイバー攻撃やグローバルでの個人情報保護関連法強化などを背景に、グローバルでの情報セキュリティ管理体制の再構築に着手しています。オムロンは、サイバーセキュリティを社会の重要課題のひとつと捉え、自社及び顧客・取引先等から預かった情報資産をサイバー攻撃から守るとともに、セキュアな製品やサービスを提供することを通じて、安心、安全なデジタル化社会の実現に貢献することを目指しています。2017年度にサイバーセキュリティ統括役員を設置し、サイバーセキュリティ全体の方針決定や管理監督を行っています。また、活動推進のための各領域における責任組織を任命し、サイバーセキュリティ統合会議で各領域を横断する課題等について議論しています。2019年度の情報セキュリティ活動としては、全社員対象としたトレーニングの実施、ウェブサイトの脆弱性診断、管理状況のモニタリングなど、様々な取り組みをグローバルで実施しました。
さらに、「地政学・カントリーリスク」に対しては、グローバルで刻々と発生する外交事案およびそれら情勢のトレンドを察知し、多面的な情報の精査を通じて各国の動向や諸施策に速やかに対応し、当社グループ内で講じる手立てを取っています。
なお、全世界へ急速に拡大した新型コロナウイルス感染症拡大に対しては、2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、社員の安全確保と事業継続に向けた対策をいち早く開始しました。世界中に展開する当社グループ各社と連携し、社員の健康と安全の確保、該当拠点地域への感染拡大防止を最優先に、規制地域に勤務する社員に対する支援物質の手配や、IT寛容の整備をはじめとした在宅勤務の拡充などに取り組んできました。引き続き、「ウィズ・コロナ」を前提に、社員の安全・安心の確保と地域への感染拡大防止を継続した上で、顧客への供給責任と社会的責任を果たしていきます。
オムロングループでは、企業倫理の浸透をモニタリングする仕組みとして、内部通報制度を整備し運用しています。
通報は、広く役員・従業員・派遣従業員とその家族、退職者および仕入先様、構内労働の業務委託先社員様から受け付けています。また、社内窓口のみならず、外部弁護士事務所に委託して社外窓口も設置しています。日本国外でも、米州・欧州・中国・韓国・アジアエリアの各主要拠点に窓口を設置し、日本と同様に運用しています。
窓口の運用にあたっては、秘密厳守や通報により不利益を受けないことなどを社内規定で定めています。また、掲示板や社内研修などで窓口の周知を図っています。
2019年度の通報・相談件数は、日本国内で27件、日本国外で30件でした。内部通報制度はグローバルで着実に浸透し機能してきています。