Environment 環境

生物多様性の取り組み

生物多様性の方針

生物多様性の方針

私たちの生活や経済、そしてウェルビーイングは、生命の基盤である生物多様性のもとに成り立っています。しかし、人口増加と経済活動拡大の結果、生物多様性は深刻な減少危機に瀕しており、生態系の保全と回復は人類社会が直面している重要な課題の一つです。
オムロンは、2010年に「生物多様性方針」を制定し、生物多様性の保全に取り組んできました。
2022年12月に策定された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の自然との共生、ネイチャーポジティブの考え方に賛同し、自然資本に関するリスクと機会の開示フレームワークであるTNFD (自然関連財務情報開示タスクフォース)等を参照して、2024年に「生物多様性方針」を改訂しました。
なお、本生物多様性方針は取締役会で承認された環境方針の下位方針として、サステナビリティ担当役員が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会にて審議し、承認を受けています。

オムロン生物多様性方針

基本方針

  • オムロン株式会社およびその子会社からなるオムロングループ(以下、オムロン)は生物多様性の保全を、事業のリスク管理と成長の機会と捉えて取り組むことで、社会・経済価値の創出に貢献し、ネイチャーポジティブの実現を目指します。そのために自然資本への依存と影響について分析・評価を行い、持続可能な自然資本の利用に関して取り組むことをコミットします。
  • 本方針は、環境取り組みの最上位概念である「オムロン環境方針」の下位方針として位置付けます。

行動指針

  1. オムロンは、事業活動において、重要な生物多様性を含む地域※1での活動を避けることに努めます。その他の地域において自然や生物多様性に影響を与える場合は、ミティゲーション・ヒエラルキー※2に則り、復元と再生、変革※3などの措置を行い、影響を最小化します。
  2. オムロンは、自然資本への依存と影響や、これにより生じるリスクについて分析・評価を行い、TNFD※4のフレームワークに則った情報開示に努めます。
  3. オムロンは、製品ライフサイクル全般において生物多様性に配慮した上で、生態系の回復に貢献する製品・サービスの促進に努めます。
  4. オムロンは、すべての役員・社員への教育や啓発に取り組むとともに、社外ステークホルダーとの対話により、自然資本や生物多様性、森林減少ゼロの概念を浸透させることに努めます。
  5. オムロンは、本方針をバリューチェーン上のすべてのステークホルダーと協働し取り組みます。
  • ※1国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに掲載されている生物が生息する地域、国際的に認められた地域(世界遺産、ラムサール湿地など)、法的に保護されている地域が含まれる
  • ※2TNFDにおける意味は、生物多様性への影響を軽減するための戦略や措置を、優先順位付けされた階層的な構造で示す手法を指す
  • ※3復元と再生とは、破壊された自然環境や生物個体群の回復及び再生するためのプロセスを指す。変革とは、生物多様性の観点での社会変革を指す
  • ※4「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures: 自然関連財務情報開示タスクフォース」の略で、自然関連のリスクと機会を管理し、情報開示するための枠組みを開発・提供する国際イニシアティブ

(改定:2024年7月)

野洲事業所は、マザーレイクと称される琵琶湖がある滋賀県に立地しています。2021年9月末まで半導体・MEMSを製造する工場を有していたため、環境には特に配慮して排水を浄化後、河川に放流していました。その工場排水を有効活用し、2011年に造成したビオトープ※1で、環境省が絶滅危惧IA類に指定しているイチモンジタナゴ※2の保護・増殖を行ったり、近隣の学童保育所や小学校の児童向けに自然観察会を開催し、子供たちへの環境教育にも貢献してきました。その結果として、滋賀県が生物多様性の保全や自然資源の持続的な利活用を評価する「しが生物多様性取組認証制度」では最高認証である三ツ星を取得しました。

しかしながら、2021年10月に半導体・MEMS事業が別会社に譲渡され、併せてビオトープの敷地も譲渡対象となったため、従来のようにビオトープを活用した生物多様性の取り組みは出来なくなりました。

BBN※3では、滋賀県に拠点を持つ企業7社(オムロン含む)が共同で、水と深い関係があるトンボを共通の指標生物とし、これまで県内で確認がある100種のトンボの調査、保全、発信の3つのアクションを活動の軸として取り組んでいます。2021年度は、地域の子供たち向けにトンボの観察会および標本作りの開催や、琵琶湖博物館様との共催で約1か月間の企画展示会を開催し、これまでの取り組みを多くの人に伝える機会となりました。これらの活動が評価され、「日本自然保護大賞2021」では教育普及部門にて大賞を受賞することができました。

野洲事業所独自の活動として、滋賀県レットデータブック2020年度版で希少種に指定されているトンボ『マイコアカネ』の保全・復元(モニタリング、保護増殖、生息地の改善)に注力しています。近年、マイコアカネは滋賀県において生息地や生息数が減少していますが、野洲事業所構内では毎年飛来が確認されており、飛来状況の調査を継続的に実施しています。また、事業所内にコンテナビオトープを創出し、繁殖地の創出や採卵した個体を用いて保護増殖する取り組みを行っています。マイコアカネの生息地の一つである野洲川河畔林では、2021年度に、野洲事業所の社会貢献活動の一貫として、従業員参画のもと、地域の方と連携し、トンボの繁殖地の環境改善と新しい生息地の創出を行いました。

これまでの取り組みで、事業所の緑地は地域の自然の一部となっていることがわかりました。これからも、事業所の緑地を活かして、地域個体群の保全に取り組み、希少な種や地域の在来種の保全を推進するとともに、地域や他社との協働による環境保全の環を広げていきます。

野洲事業所マスコットキャラクタータナゴちゃん
野洲事業所マスコットキャラクター
タナゴちゃん
写真:ビオトープ「ぼてじゃこの池」
ビオトープ「ぼてじゃこの池」
(「ぼてじゃこ」とはタナゴ類の愛称)
写真:繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
写真:イチモンジタナゴ
イチモンジタナゴ

※1 ビオトープ
ドイツ語の「生物」を意味するBioと「場所」を意味するTopの合成語で、野生動植物が生息する空間を意味する。最近は、生態系としての森林や川、沼、湿地、草地、雑木林の総称としても使用される。日本では人為的に造り出したものの意味で使用されることが多い。(「生物多様性読本」日経エコロジーから引用)

※2 イチモンジタナゴ
コイ科の淡水魚で、環境省のレッドリストでIA類(もっとも絶滅が危惧される種)に指定されている。体側には青緑色の長い縦条があるため、イチモンジの由来となっている。もともとは琵琶湖淀川水系等で多数生息していたが、外来魚の増加や河川改修により、今では琵琶湖ではその姿を見ることはできない

※3 BBN
「生物多様性びわ湖ネットワーク」の略称、生物多様性びわ湖ネットワーク参画企業(五十音順): 旭化成株式会社、旭化成住工株式会社、オムロン株式会社、積水化学工業株式会社、積水樹脂株式会社、ダイハツ工業株式会社、株式会社ダイフク

写真:希少種のマイコアカネ
希少種のマイコアカネ
写真:自然観察会
自然観察会
写真:"野洲事業所マスコットキャラクタータナゴちゃん"
野洲事業所マスコットキャラクター
タナゴちゃん
写真:ビオトープ「ぼてじゃこの池」
ビオトープ「ぼてじゃこの池」
(「ぼてじゃこ」とはタナゴ類の愛称)
写真:繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
繁殖に成功したイチモンジタナゴの稚魚
写真:イチモンジタナゴ
イチモンジタナゴ
写真:希少種のマイコアカネ
希少種のマイコアカネ
写真:自然観察会
自然観察会

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