オムロンの「健康経営宣言」と、健康経営の取り組みについてご紹介します。
基本方針
健康経営の取り組み
オムロングループでは、企業理念の実践を通じて社会的課題の解決を目指しています。変化の激しい世の中において、新たに生まれる社会的課題を解決していくには、さらなるイノベーションの創出が不可欠です。そのためには、オムロングループで働く多様な人財が、活力に満ち溢れ、ポテンシャルを発揮することが重要です。
会社の発展にとっても欠かせない社員の健康の維持向上に向けて、「健康経営宣言」を制定しました。
オムロン健康経営宣言
私たちオムロンは、世に先駆けたチャレンジによる、新たなソーシャルニーズの創造を目指します。 そのためには、オムロンで働く社員の健康が経営の基盤と考え、皆が豊かで充実した生活を送れる環境をオムロン一体となって作り上げていきます。そして、笑顔と活力にあふれる健康的な職場を創造し続けることで、イノベーションを起こし、様々な社会的課題の解決に取り組んでいきます。
執行役員社長 CEO
オムロングループでは、従業員の健康への具体的な取り組みを執行会議で承認された年度目標や計画に基づいて進めています。そして、それらの内容や進捗状況の報告に基づき、取締役会が監視・監督を行っています。
オムロングループ(国内)の健康経営担当部門は、産業医・産業保健スタッフといった専門職、健康保険組合と連携し、組織横断で目標達成に向けた課題解決への対応を進めています。
健康経営の取り組みを加速させるため、産業医をはじめとした看護職、カウンセラー等産業保健スタッフの配置において、法令を超えた独自基準※1を設置し、社員一人ひとりに対応したきめ細やかな健康管理サービスを実施しています。
また、従業員の健康情報を健康管理システム※2に統合し、各事業所に配備した医療職、衛生管理者、所属長がいつでも各役割に必要な情報を共有できるようにしています。
オムロンでは、社会的課題を解決するには、何よりも働く社員一人ひとりの健康が経営の基盤になると考え、2017年7月に健康経営宣言を行い、経営トップ自らが「健康経営」を推進してきました。この活動を進めるにあたって、オムロンでは独自に全社共通の指標「Boost5」を設定し、その達成に向け取り組みを進めています。
オムロンの健康経営の活動方針には3つの軸があります。
1つめは「イノベーションを起こす人と組織をつくる」ということ。前向きなチャレンジを促進する環境を整えて、仕事にやりがいや楽しさを感じられるようにします。
2つめは「心身が健康で、社員が自分の人生を楽しんでいる状態をつくる」ということ。社員に健康に配慮した生活を心がけてもらい、仕事だけでなく趣味なども積極的に楽しめるようにします。
3つめは「オムロンを卒業しても社会で活躍し続ける社員でいっぱいにする」ということ。健康を維持・向上できれば、将来にわたって活躍できるようになり、社会に貢献しながら充実した人生を送ることができます。
また、オムロンでは健康経営の推進に向け、これら3つの軸に沿って全社共通の健康づくりを応援するための具体的な指標を5つ制定し、「Boost5」と名付けました。「Boost5」とは、運動、睡眠、メンタルヘルス、食事、タバコ(禁煙)の5項目を指し、そのどれもが集中力を高め、パフォーマンスを向上させるうえで欠かせない要素です。それぞれの指標の目標達成に向けて、年度ごとに特に注力すべきテーマが設定されています。
Boost5の目標指標を達成している社員は年々増えています。また、Boost5の目標をより多く達成している社員ほど、高パフォーマンスを自覚している割合が多いという傾向も示されています。
《Boost5 達成数別の高パフォーマンス社員の割合》オムロン健康白書2021年度より
オムロンでは、Boost5の各項目それぞれごとの達成度を、毎年実施されている社員への健康診断やストレスチェックなどから情報を収集し、その結果を毎年「オムロン健康白書」という形でまとめて公表し、このデータを今後の施策に活用しています。
オムロン健康保険組合とのコラボヘルスの一環として、レセプトデータや社員へのアンケート調査等のデータを分析し、社員の健康状態を把握。また、健康経営の取り組み等を振り返り、成果や課題を「健康白書」としてまとめ、健康への意識向上のため社員に提供しています(毎年発行)
健康経営の推進にあたっては、経営課題の解決につながる健康課題を特定し、それらを解消するための手段や具体的取り組みに落とし込むため、健康経営戦略マップを作成しています。健康経営戦略、ストーリーを明確にすることで、取り組みの実効性を高めています。
精神的なストレスへの対処(セルフケア)を実行できている社員ほど、メンタルヘルスやパフォーマンスが良好という分析結果を踏まえ、2021年度のBoost5注力テーマを「メンタルヘルス」に設定しました。
《セルフケア実践度別の高メンタルタフネス・高パフォーマンス社員の割合》オムロン健康白書2020年度より
コロナ禍のいま、様々なストレスとうまく付き合うために社員一人ひとりがセルフケアを実践し、集中力を高めて仕事に取り組んでいる状態を目指して、「Boost5」の各項目と組み合わせた情報提供や健康イベントを実施しました。
グループ全社の施策として、社内の看護職による実践型のオンラインイベントを開催し、延べ3,375人が参加しました。毎回、ライブ配信にて看護職と参加者全員がつながり、ストレスへの効果的な対処法に一緒にチャレンジしました。
また、運動習慣がある社員ほどメンタルヘルスが良好であることがアンケート結果から把握できたことから、ストレス対処法の1つとして運動機会の提供も促進しました。
《運動頻度別の高ワークエンゲージメント社員等の割合》オムロン健康白書2019年度より
昨年に引き続き、テレワークや外出自粛等の在宅生活が続く環境でも社員一人ひとりが取り組める運動として、ラジオ体操動画の配信や、ヨガや筋トレ等のセミナーをオンラインで開催しました。そして、従来から社員の健康増進活動として実施してきた社内ウォーキングイベント「オムウォーク」を半期ごとに開催し(参加者数延べ2,343人)、日常生活における運動への取り組みを促進しました。その結果、週2回以上の運動を習慣化している社員の割合が、2021年度は40.2%(前年比+6pt)となり、過去最大の増加幅となりました。
これらセルフケア実践につながる多種多様な施策に取り組んだ結果、精神的なストレスとうまく付き合うことができている社員ほど、高メンタルタフネス、高パフォーマンス傾向であることが示されたほか、複数のストレス対処法を持っていると回答した社員の割合が増え、グループ(国内)全体で81.6%(2022年7月)になりました。詳しくは、オムロン健康白書(2021年度)をご覧ください。
オムロングループ(国内)では2020年4月に、就業規則による就業時間内(昼休みを含む)禁煙を制度化しました。この「全社禁煙化」の開始に向けて、2019年度より各拠点にて段階的な環境整備に取り組みました。加えて、健康保険組合と連携した禁煙支援策として、全社禁煙イベント「卒煙マラソン」や禁煙外来補助等を行いました。全社禁煙化となってからも、健康保険組合を中心に禁煙支援施策を継続しており、全社喫煙率(15.7%:2022年7月)は着実に低下しています。
女性特有の健康課題に対するヘルスリテラシー向上のため、「働く女性の健康応援オンラインセミナー」をオムロン健康保険組合の協力を得て開催しました(2022年2月開催:参加者241人)。セミナー後のアンケート調査(回答率100%)では、参加者の99%が「自身のセルフケアに活用できる」と回答しました。また、ダイバーシティ&インクルージョンにおける女性社員を対象としたリーダー研修にて、女性特有の健康課題に関する知識普及のための健康教育を実施し、健康の側面からキャリア支援につなげました。
オムロンは健康保険組合との共同事業(コラボヘルス)を通じた病気の予防や健康づくりを積極的に進めています。定期健康診断にがん検診※3を導入しているほか、ポイント数に応じて健康グッズと交換できる「健康ポイント」プログラムや健康データの解析などにも取り組んでいます。
オムロングループ(海外)各エリアでも社員の健康増進を狙い、社員の健康意識を高めるコンテンツを提供し、運動、メンタルヘルス、栄養、禁煙、睡眠について全社員が参加できるイベントを開催しています。また、社員のメンタルヘルスを重視し、メンタルヘルスに関するラーニングコンテンツを提供するとともに、カウンセリング窓口を設けています。
国内全てのグループ会社で、各種健康診断およびストレスチェックに基づいた組織診断や職場ヒアリング、産業保健スタッフ等の支援による職場環境改善活動等を実施し、心身ともに健康な職場づくりに取り組んでいます。
オムロン(株)は、健康経営をスタートして以来、定期健診受診率100%を維持しています。そして、ストレスチェックの2021年度の受検率はグループ(国内)全体で96.0%(対象者:11,448人、実施済:10,995人)でした。
また、2017年度から取り組んでいるEラーニングを活用したセルフケア研修の2021年度の受講率は、グループ(国内)全体で97.8%(対象者:11,079人、受講者:10,889人)でした。さらに、2021年度から管理監督者を対象としたラインケアのEラーニングも開始し、受講率はグループ(国内)全体で86.8%(対象者:1,434人、受講者:1,248人)でした。
オムロングループ(国内)においては、日常の健康管理として、従業員に感染症罹患報告を義務付け、啓発活動などの感染症予防対策を講じることによって、職場における集団感染を防止しています。
また、オムロングループとして「グローバル新型感染症対策指針」を定めています。新型インフルエンザ等、従業員や家族の生命に関わるような重大な健康被害を及ぼす可能性がある感染症に対しては、この対策指針に従って対処することとしています。
今般のCOVID-19パンデミック対応としては、いち早くグループ対策本部を設置しました。製品・サービスの供給責任を果たしつつ、各国政府による法令・施策・指示・指導などに応じて、在宅勤務指示や出社社員数のコントロールを行っています。また弊社社員に留まらず、弊社事業所構内で働く派遣社員や委託先社員の皆様にも弊社社員に対するものと同様のお願いをし、ご本人とそのご家族の健康と安全を守ることに努めています。
グループ(国内)では、政府の施策に基づき、2021年度からワクチンの職域接種を実施し、1,2回目 は7,854名、3回目は 5,634名の社員およびオムロングループ関係者がワクチンの接種を受けました。
社員一人ひとりの健康の維持・増進と創造性の発揮・生産性向上を両立させ、個人と企業の持続的成長につなげていくため、働き方改革に取り組んでいます。
【目標指標】
総実労働時間
【目標】
総実労働時間1,800時間台水準での生産性の持続的向上
【実施状況】
2021年度は、目標としている総実労働時間1,800時間台水準に対して、グループ全体で1,906時間となり、わずかに及びませんでした。他方で、2021年度は全世界的な需要の回復や部材のひっ迫があり、販売・生産職掌を中心に繁忙感が高まった中で、各部門が生産性向上を意識した取り組みを継続したことで、総実労働時間は大きくリバウンドすることなく、以前と比較して着実に改善傾向が継続しています。
・総実労働時間:2,009時間(2014年)→1,906時間(2021年)
・国内グループ全体
【取り組みの内容】
オムロンはメリハリのある働き方を促進するため、2010年からノー残業デーの設定や有給休暇の5日連続取得などの取り組みを行ってきました。2015年からは、取り組みのさらなる進化に向けて、以下のような施策を導入・実行しています。
①付加価値向上のための能力向上・獲得機会拡充
・E-learningの拡充
・高額外部講座受講支援
・社内勉強会支援
・業務時間外の会社主催セミナー開催 等
②多様な働き方による生産性向上のインフラ整備
・ホームオフィス制(自宅をオフィスとした在宅勤務中心の働き方)の導入(2022年度)
・副業制度の導入(2022年度)
・フレックスタイム制度コアタイム廃止(スーパーフレックスタイム制度の導入) (2021年度)
・在宅勤務導入 ~適用事由限定撤廃(2019年度)、上限日数撤廃(2021年度)
・サテライトオフィス活用
・時間有給制度導入 ~利用可能日数拡大(2019年度)
・短日勤務制度導入(2019年度) 等
企業理念にある「ソーシャルニーズの創造」を実現するには、従業員がワーク・ライフ・バランスのとれた毎日を送り、いきいきと働くことができる環境を整えることが大切です。今後も継続して働き方改革を進めていきます。