すべての人々の基本的人権を尊重するための方針、取り組みについてご紹介します。
基本方針
人権啓発推進体制
人権教育
児童労働・強制労働の禁止
ハラスメント防止
結社の自由
2011年に国連で「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」が採択され、企業の人権尊重責任が明確化されました。以降、法規制やルールづくりなど、UNGPに沿った人権取り組みが企業に義務化される動きが高まってきており、事業継続においても重要性を増しています。また、持続的な企業価値向上の観点からも、バリューチェーン全体を俯瞰した人権取り組みが不可欠な要素になってくると捉え、SF2030のサステナビリティ重要課題の一つとして「バリューチェーンにおける人権の尊重」を設定しました。
これらの背景を踏まえて、2022年3月にUNGPの考え方に基づいた人権方針を新たに制定しました。
オムロン株式会社およびその子会社からなるオムロングループ(以下、オムロン)は、その企業理念に基づき、企業としての人権尊重の責任を果たします。そのために、ここに「オムロン人権方針(以下、本方針)を定め、常に国際社会と協調した経営や行動に努めます。
オムロンは、本方針をオムロンのすべての役員・社員に適用します。また、オムロンのサプライヤーや販売代理店を含むビジネスパートナーに対しても、本方針の内容を理解・支持いただくことを期待するとともに、本方針が尊重されるよう、継続して働きかけます。
オムロンは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューディリジェンスを実施し、バリューチェーンにおいて、人権への負の影響を引き起こしたり、助長したりすることを回避することを宣言します。
オムロンは、上記のコミットメントを実現していくために、国際人権章典、労働における基本的原則および権利に関する国際労働機関(ILO)宣言、OECD多国籍ガイドラインなどに定められた人権を尊重します。また、オムロン株式会社は、国連グローバル・コンパクトに署名し、「国連グローバル・コンパクト10原則」を支持しています。オムロンは、事業活動を行う国・地域の法令などを遵守することを基本に上記の人権の原則を尊重します。
オムロンは、開発、調達、製造、物流、販売などのビジネスプロセスの中で重点的に取り組むべき人権課題を以下の通り特定し、適切な手続きを通じて対処していきます。
1.差別等不当な取扱い
オムロンは、国籍、市民権、出生地、人種、皮膚の色、信条、宗教、家系(民族)、婚姻の有無、性別、性的指向、性自認、障がい、年齢、社会的地位、その他各地域の法令で定めるもの等いかなる事由であっても、差別や個人の尊厳を傷つける行為、嫌がらせ、その他の不当な取扱いを行うことを許容しません。
2. 強制労働と児童労働
オムロンは、奴隷や人身取引を含めたすべての強制労働、児童労働を許容しません。
3. プライバシーと個人情報
オムロンは、常に一人ひとりのプライバシーを尊重し、個人情報は細心の注意をもって取り扱います。個人情報保護に関係する国や地域の法令を遵守し、漏洩や不必要に知ろうとする行為を許容しません。
4. ハラスメント
オムロンは、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントといった身体的・精神的苦痛を与える行為を許容しません。
5.労働安全と健康
オムロンは、各職場で働く人々がその能力を最大限発揮できるよう、安全で健康的な労働環境の形成に努めます。
6. テクノロジーの倫理的な活用
オムロンは、AI・ロボッティクス・IoTなどのテクノロジーが人権に与える影響を理解し、事故の発生・差別・プライバシー侵害などの問題を発生させることがないよう、テクノロジーを適切に活用します。
オムロンは、経営と現場が一体となってグローバルで人権尊重責任を遂行する体制を構築します。バリューチェーンを俯瞰した責任体制としては、社長CEOから権限委譲されたグローバル人財総務本部長、グローバル購買・品質・物流本部長、各事業部門長がそれぞれ責任を持って人権尊重への対応を推進します。人権尊重へのコミットメントを果たす上で重要な事項については、取締役会で決定します。決定された事項の執行状況を社長CEOが取締役会に報告し、取締役会が監視・監督します。
オムロンは、人権尊重責任を遂行するために、本方針に基づき人権デューディリジェンスを実行します。オムロン自らの活動が引き起こした人権への影響を評価し、特定された負の影響については、原因の回避または軽減を行います。また、オムロンとの取引関係によって、オムロンの事業、製品またはサービスとつながっている人権への影響についても、本方針が尊重されるよう働きかけます。
オムロンは、事業活動を通じて人権への負の影響を引き起こした、もしくは助長したことが明らかになった場合は、適切な手続きを通してこれに対処します。
オムロンは、社内外の様々なステークホルダーとの対話や協議を通じることにより、本方針の一連の取り組みを進化させていきます。
オムロンは、公正で透明性の高い経営の実現を目指しています。影響を受けるステークホルダーや商取引上の秘密に十分配慮した上で、人権デューディリジェンスの結果および進捗状況について適宜公表していきます。
オムロンは、本方針をオムロンのすべての役員・社員に浸透するように適切な教育や研修に取り組むとともに、サプライヤーや販売代理店などのビジネスパートナーに対しても本方針の理解を得るための活動を進めて行きます。
オムロン株式会社は、取締役会にて本方針を決議しました。社会動向や事業環境に応じて変化する人権課題に対応できるよう、定期的に方針内容を見直し、改定を行います。
(制定:2022年3月1日)
オムロンは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を尊重し、人権への負の影響を特定・防止・軽減・是正するための手続きを構築することを通じ、企業としての人権尊重の責任を果たしていきます。
オムロンは、外部コンサルティング会社のアドバイスを受け、2017年度に自社の人権影響評価を実施し、自社のサプライチェーン上のどこで人権リスクが発生する可能性が高いかを検証しました。その結果として、日本、中国、東南アジアにおける自社生産工場やサプライヤーで働く人々が最もリスクが高いと特定しました。この中でも特に生産に携わる派遣労働者、請負労働者、外国人労働者の方々の潜在リスクが高いと想定しました。
2021年度は、2017年度から2020年度までの中期経営計画期間「VG2.0」の人権取り組みを総括し、オムロンのビジネスと関係する重要な人権課題を再評価しました。また、オムロンの技術が及ぼす人権への影響を評価しました。これらの評価結果を、2022年3月に制定した人権方針の中に「オムロンが重要とする人権課題」として明確にしました。
2022年度は、サステナビリティ重要課題の一つに設定した「バリューチェーンにおける人権の尊重」の実行計画として、オムロンのバリューチェーン全体を俯瞰した人権影響評価を実施します。
オムロンは、2030年に向けた長期ビジョンの中で「人権の尊重」を注力すべきサステナビリティ重要課題として特定し、2030年までの長期目標およびSF 1st Stage(2021年度~2024年度)までの中期経営計画と目標を設定しました。SF 1st Stageでは、新たに制定した「オムロン人権方針」をグローバル社員に周知・浸透させるとともに、UNGPに沿って人権デューディリジェンスと人権救済メカニズムの構築に取り組み、グローバルにおける人権ガバナンス体制の確立を目指します。
また、オムロンでは統合リスクマネジメントというグループ共通のフレームワークでリスクマネジメントを行っており、人権リスクをオムロンのグループの重要リスクの一つとして位置付けています。2022年度は人権リスクを最重要課題(Sランク)と設定し、取り組みを強化しています。
オムロンは、これまでの人権影響評価結果により人権リスクが高いとしている自社生産拠点やサプライヤーを対象に年次アセスメントを実施し、顕在的および潜在的な人権リスクに対する是正活動を行っています。
オムロンは、主要な自社生産拠点に対してRBAのSAQ(セルフアセスメント)、およびその他のセルフアセスメントを活用し、現状調査・評価を実施しています。2021年度は、オムロングループの日本、中国、アジアパシフィックを中心に自社生産拠点 19か所に対して、RBAのSAQ(セルフアセスメント)およびその他のセルフアセスメントを活用し、現状調査・評価を実施しました。
オムロンは、サプライチェーンにおいても人権リスクを防⽌するため、定期的な仕入先様の調査を行っています。具体的には、仕入先様にセルフチェックをお願いし、人権遵守、労働慣行を含めて、「オムロングループサステナブル調達ガイドライン」の遵守状況を確認し、改善を求めています。重要仕入先様(50社)については毎年、それ以外のサプライヤーについては少なくとも3年に1回、アセスメントを実施しています。
人権課題を含めた当社のサステナビリティ課題の取り組みは、毎年サステナビリティ推進委員会で評価を行い、執行会議や取締役会に報告しています。
すべてのステークホルダーを対象に、自社のWebサイト、統合レポート、有価証券報告書で人権の取り組みを報告しています。
オムロンは、サステナビリティ方針の中で「すべてのステークホルダーと責任ある対話を行い、強固な信頼関係を構築します。」と宣言しています。人権の取り組みにおいても、社外の人権専門家と定期的に対話を行うことで、国際基準での人権尊重に対する理解を深め、取り組みの実効性を高めていきます。
海外に比べると、ほとんどの日本企業が本格的な取り組みはこれからという状況で、企業理念に基づいて人の重要性という点にフォーカスして取り組んでいるオムロンのような企業があることは心強く思っています。今後、より一層取り組みをブラッシュアップさせていくためにはなぜ人権課題に取り組むのかという「why」の部分を大事にすること、経営や事業を進める中で誰のどんな権利が課題になっているかというライツホルダーの視点をビジネスに意識的に入れ込んでいくことが重要です。また、人権リスクを開示することは、リスクを把握しているという企業の評価にもつながります。対策が全て完了してから開示するのではなく、今できていること、これからすること、しなくてはいけないことを適切に開示することがステークホルダーとの信頼関係構築につながります。
ことのは総合法律事務所 認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ 佐藤 曉子 氏
国内では、より効果的・効率的な人権啓発活動に取り組むために、オムロングループ(国内)の共通ルールとして「人権啓発に関する基本ルール」を定めています。ルールに沿って、オムロン(株)本社にグローバル人財総務本部長を委員長とする「中央人権委員会」を設け、これを核にオムロンの各事業所・国内関係会社に設置している「人権委員会」の下で、国内全従業員の人権意識の向上に取り組んでいます。
オムロングループ(国内)では、全従業員(パート/派遣社員含む)を対象に人権研修を実施し、人権意識の向上を図っています。また、新入社員・キャリア入社者・新任経営基幹職・役員を対象にした階層別の人権研修も実施しています。
2021年度の人権研修は、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」をテーマに、E-learningで行いました。アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は、その人の経験や知識、価値観などから無意識のうちに言動として現れ、自分自身ではなかなか認識できません。ハラスメントが発生する根底には誰もが持っているアンコンシャス・バイアスが影響していることを理解してもらうため、研修ではE-learningに加え、動画視聴に基づくグループディスカッションも行い、相互研鑽を図りました。参加者からは、「自分にもアンコンシャス・バイアスがあることを自覚し、発言や言動を見直したい」など、共感と気付きを得たといった回答が多く寄せられました。
人権研修実施後には全ての参加者に人権アンケートを実施し、必要により速やかに適切な救済措置を実施しています。
さらに、当社事業所で働かれている請負社員の方々にも、当社従業員と同等の研修を実施しました。人権相談窓口やコンプライアンス・ホットラインなどの救済システムについても請負社員の皆様が利用できるようポスター掲示などで周知を行いました。当社は、事業所内で働くすべての人たちが敬意と尊厳をもって処遇され、安心・安全に働くことができるよう、これからも努めていきます。
海外では各地域本社が主導し、人権啓発の活動に取り組んでいます。また、海外のグループ事業所で働かれている請負社員の方々にも、当社従業員と同等の研修を実施しました。コンプライアンス・ホットラインなどの救済システムについても請負社員の皆様が利用できるようポスター掲示などで周知を行いました。
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿った実効性のある取り組みを推進するには、経営トップが国際人権に関する基準や人権尊重に関する社会要請を深く理解することが必要不可欠です。2021年度は社内取締役、社内監査役および執行役員に対して、外部講師を招いて人権研修を実施しました。その学びをSF 1st Stageの人権取り組みの計画、実行に活かしています。
オムロングループは人権方針の中で、国籍、市民権、出生地、人種、皮膚の色、信条、宗教、家系(民族)、婚姻の有無、性別、性的指向、性自認、障がい、年齢、社会的地位、その他各地域の法令で定めるもの等いかなる事由であっても、差別や個人の尊厳を傷つける行為、嫌がらせ、その他の不当な取扱いを行うことを許容しないことを宣言しています。
オムロングループでは、オムロン人権方針の中で、奴隷や人身売買を含めたすべての強制労働、児童労働を禁止しています。サプライチェーンにおいても、オムロングループサステナブル調達ガイドラインの中で、奴隷や人身売買を含めた強制労働の禁止を定めており、すべての仕入先様に本内容の遵守を求めています。
オムロングループでは、人権方針の中で、常に一人ひとりのプライバシーを尊重し、個人情報は細心の注意をもって取り扱い、個人情報保護に関係する国や地域の法令を遵守し、漏洩や不必要に知ろうとする行為を許容しないことを宣言しています。
秘密情報・個人情報管理については、サイバーセキュリティ統括担当取締役の監督の下、グローバルリスクマネジメント・法務本部長が責任者として、傘下に設置した部門において、各国法令動向やオムロングループの状況を把握し、必要な施策を推進しています。
オムロンのAI・ロボティクス・IoTなどのテクノロジーがどのように人権に影響を及ぼすかについての人権影響評価を2021年度に実施しました。2022年度は評価結果をもとに、テクノロジーの適切な活用方法について検討を進めていきます。
オムロングループ(国内)では、すべての拠点に人権についての相談窓口を設置しています。社員からセクハラ相談員・パワハラ相談員・人権委員・人権担当者を選任し、所属部署や氏名をイントラネットや事業所掲示板などで周知するとともに、面談だけでなく電話やメールによる相談にも対応するなど、相談しやすい環境づくりに努めています。
相談内容については、予め定めたエスカレーションプロセスに基づいて問題解決に取り組みます。具体的には以下の通りです。
オムロングループでは、企業倫理の浸透をモニタリングする仕組みとして、内部通報制度を整備し運用しています。
日本国内において、通報は広く役員・従業員・派遣従業員とその家族、退職者および仕入先様、構内労働の業務委託先社員様から受け付けています。また、社内窓口のみならず、外部弁護士事務所に委託して社外窓口も設置しています。日本国外でも、米州・欧州・中国・韓国・アジアエリアの各主要拠点に窓口を設置し、日本の運用に準じて運用しています。
オムロングループでは、お客様、株主・投資家など様々なステークホルダーの皆様からの多様なお問い合わせにお応えするため、コーポレートサイトにお問い合わせ先を開示しています。
オムロングループでは、購買部門の業務に関して、コンプライアンス上の問題やご意見を仕入先様から通報いただくホットラインを設置することにより、社内のコンプライアンス遵守を図っています。