仕入先様と共に、PDCAの改善マネジメントサイクルを回すことで、サプライチェーン上のサステナビリティのレベルアップに取り組んでいます。
また、重要仕入先様には、オムロンと共にRBA※1行動規範の基準の達成を目指して取り組んでいただいています。
主な活動 | 活動内容 | 管理基準 |
---|---|---|
セルフチェック | サステナブル調達ガイドラインの遵守状況を確認し、改善を実施する | 全仕入先様対象にアンケートを1回以上/3年実施 |
第三者基準での評価 | RBA※1行動規範の遵守状況を確認し、改善を実施する | 重要仕入先様対象にRBA Corporate Level SAQ※2でのアンケートを1回/年実施 |
調達BCP | 部品の最新の生産地情報を漏れなく管理する | 全仕入先様の新規部品を調査し、1回/年更新 |
有事に、全部品が一カ月以内に調達を再開できることを目標に、部品毎の調達リスク軽減を行う | ||
グリーン調達 | 有害化学物質を使用せず、サプライチェーンにわたる環境負荷低減に寄与するため、仕入先様の環境経営・規制化学物質管理の実施状況を審査し、グリーン仕入先として認定する | 全仕入先様対象に1回/3年更新 |
責任ある鉱物調達 | 3TG(タンタル、すず、タングステン、金)を含む部材を調査して製錬業者様を特定し、武装勢力の資金源となっている紛争鉱物を使用していた場合は速やかに是正措置を実施する コバルトを含む部材を調査して、環境破壊・人権侵害に加担しない調達を推進する |
1回/年調査実施 |
財務評価 | 仕入先様との安定的な取引継続のために、財務レベルを評価し、必要に応じて改善案を相互で確認・実施する | 1回/年以上実施 |
オムロングループは、重要仕入先様にRBA準拠のセルフチェックアンケートの対応をしていただく中で、目標達成にむけて改善のための意見交換や打合せ等学ぶ機会を設けており、特に加工品においては、必要により仕入先様の拠点を訪問して現場の実態を確認しながらの打合せも実施しています。
仕入先様でのサステナブル調達の理解促進のために研修教材を作成し、Eラーニングの受講を推進しています。
2022年度は、セルフチェックの対象となった中国の仕入先様のうち、業種単位で抽出した18社61人(うち5社が重要仕入先)に研修を受講いただきました。
2023度は全仕入先様に対して実施する予定にしています。
オムロングループは、サステナブル調達ガイドラインの実施依頼と合わせて、その実施・遵守状況を仕入先様自身で確認し、改善・レベルアップしていただくため、全仕入先様を対象に少なくとも3年ごとにセルフチェックアンケートを実施しています。対象の仕入先様で100%実施することを目標としています。
2022年度は、478社にセルフチェックを依頼し、日本で126社、中国で74社、アジア・パシフィックで56社、米州で35社、欧州では65社の計356社の仕入先様より回答をいただきました。
単位:社数(2023年3月31日時点)
地域 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
計画 | 1,154 | 1,376 | 19 | 909 | 478 | |
実績 | 606 | 1,268 | 19 | 603 | 356 | |
(内訳) | 日本 | - | 735 | - | 81 | 126 |
中国 | 462 | 472 | 0 | 365 | 74 | |
アジア・パシフィック | - | 61 | 19 | 11 | 56 | |
米州 | 103 | - | - | 93 | 35 | |
欧州 | 41 | - | - | 53 | 65 | |
回収率 | 53% | 92% | 100% | 66% | 75% |
近年、人権問題は企業として取り組むべき大きな課題となっており、バリューチェーン上のリスクを特定し、特定したリスクの有無確認のためのより具体的なアセスメント、リスクの未然防止のための是正処置、発生したリスクの救済策の実施が求められています。オムロングループは人権DDの取り組みを強化しており、2022年度に実施したリスク分析の結果に基づき、中国・マレーシアに生産拠点を持つ仕入先様を2024年度までの取り組み対象と定めて活動を進めています。
中国で業種ごとに抽出した仕入先18社に対して、人権に関するより詳細なセルフチェックとエビデンスの提出を要請し、全社から回答を入手しました。その結果、1社において「書面による雇用条件の事前通知を行っていない」事象が確認されたため、是正計画に基づき改善を進めていただいています。
重要仕入先様には、RBA※1の評価ツールRBA Corporate Level SAQ※2を使用しての自主チェック・自主改善を毎年実施いただいています。
2022年度は、加工品も含めて重要仕入先様69社で実施いただきました。なお、中国の加工品仕入先については現地を訪問しての確認と改善打合せも実施しました。
査定・監査の結果、サステナビリティリスクが特定された仕入先様には、改善計画の立案を要請し、是正行動を実施いただいています。改善計画の立案にあたっては、対象の全仕入先様に対しオムロンや他社様の事例の紹介など、打合せを通じてのサポートを実施しています。なお、重大なコンプライアンス違反行為(環境・社会・経済面を含む)があった場合は取引を見直す等、違反があった場合の対応方針・手順も定めて運用をしています。
2022年度はサステナビリティリスクを特定した仕入先様のべ77社より是正行動計画を提出いただき、是正行動計画に基づく改善活動を実施いただきました。
リスクの種類 | 内容 | 社数 | 改善実施社数 |
---|---|---|---|
経済的リスク | 財務評価で、一次評価が5段階中4または5の評価となった仕入先[二次評価(現地調査)が望まれる仕入先] | 34 | 34 (100%) |
環境・品質リスク | CMS監査で不合格と判定された仕入先 | 36 | 36 (100%) |
PRIMP(ライン品質監査)で不合格となった仕入先 | 4 | 4 (100%) |
|
社会的リスク | サステナビリティセルフチェックで改善要となった仕入先 | 4 (2) |
3※ (75%) |
(2023年3月31日時点)
社数の( )内は重要仕入先の数字です。
オムロングループでは、企業理念に基づき、地球環境に貢献する商品・サービスを提供すると共に、すべての経営資源を最大限、有効に活用することにより、グローバルで持続可能な社会の実現に貢献しています。さらに、部材調達においては、有害化学物質を含まない部材を積極的に採用し、環境負荷低減に寄与する「グリーン調達」の推進と「サプライチェーン上での温室効果ガス(GHG)排出削減」「樹脂成形材料の廃材量削減」に取り組んでいます。
「エコロジー(環境負荷の低減)」と「コンプライアンス(法令・社会規範の遵守)」をサプライチェーンで実施すべき重要な施策と位置づけ、EMS(環境マネジメント)構築とCMS(含有化学物質管理)構築の二つの観点から仕入先様の「グリーン認定」に取り組んでいます。
現在、2014年に改定された新しい基準に基づき、仕入先様のグリーン認定(更新)に取り組んでいます。2022年度は62社を新たに認定し、累計3,188社を認定しました。2023年度は現在未認定の仕入先様の評価を実施する予定です。
単位:社数
「脱炭素」の観点から、オムロングループは国際基準であるGHGプロトコルに基づきGHG排出量削減に取り組んでおり、仕入先様にも協力を求めています。
2022年度は、重要仕入先様95社に対してGHG排出削減の目標設定有無や現状の取り組み状況に関するアンケートを実施しました。その結果、95%の仕入先様が3年以内に数値目標を設定する予定であることを確認しました。
2023年度は、各社様のGHG排出削減量や取り組み状況をモニタリングしていく予定です。
「脱炭素」「省材料化」の観点から、化石燃料由来の樹脂に対して、使用量削減とリサイクル化による廃棄ゼロ化に仕入先様と協働で取り組んでいます。
金型仕様の最適化による省材料化と廃材再利用プロセスの導入・展開により、2022年から24年までの3年間で再利用可能な樹脂材料の廃棄量840トンの削減を目標としています。
2022年度は、樹脂ランナーを削減するホットランナー技術※やミニランナー技術、および成形時に発生した廃材を再利用するリサイクル技術・管理プロセスを、社内への拡大だけでなく仕入先様へも展開しました。
その結果、廃材量として目標280トン削減に対し、実績として281.5トン削減を達成しました。
オムロングループは、よりより社会の実現のため、人権侵害、環境破壊等を引き起こし武装勢力の資金源となっているコンゴ民主共和国および周辺9カ国で採掘される鉱物資源(3TG)を使用しない方針を掲げ、2013年度から紛争鉱物調査に取り組んでいます。
オムロングループ重要リスク対策を主管する「企業倫理リスクマネジメント委員会」に2013年度からテーマエントリーし、半期毎に取締役会と執行会議に状況を報告しています。
また、2013年度から紛争鉱物対応プロジェクトを立ち上げ、毎年、前年度の取り組み結果を総括のうえ計画を策定し、月次で進捗状況を仕入先様別、部材別に管理しています。
オムロンは接点の材料として金を使用しているほか、端子等への鍍金の材料としても金や錫を使用しています。また、3TGはオムロンの購入している様々な電子部品や機器に材料として含まれています。よって、業界標準規格であるRMI(Responsible Minerals Initiative)の紛争鉱物調査帳票 CMRT(Conflict Minerals Reporting Template)を採用し、サプライチェーンを遡った調査を行っています。
この調査は、OECDガイダンスで提示されているデューデリジェンスの考え方に基づくリスク査定プロセスです。具体的には下記のステップで実施しています。
2022年度もオムロングループが過去2年間に購入した部材を対象に調査を実施しました。
調査回答の内容を精査し、回答に不備が見受けられた仕入先様には内容を確認し、調査回答の信頼性の向上を図りました。
現時点までの調査において、武装勢力の資金源となっている紛争鉱物の使用は確認されておりません。
今後、万一オムロングループの製品において武装勢力の資金源となっている紛争鉱物の使用が判明した場合には、できる限り迅速に是正措置を講じていきます。
コバルトは、電気自動車、携帯電話などに不可欠なリチウムイオン電池に使用されており、コンゴ民主共和国(DRC)は、世界最大のコバルト生産国であり、人力による採掘で劣悪な労働環境や児童労働に対する懸念が指摘されています。
オムロンのサステナブル調達ガイドラインでは、あらゆる強制労働や児童労働の禁止を含む基本方針を定めています。オムロンは環境破壊・人権侵害に加担しないコバルト調達を推進します。
RMI(Responsible Minerals Initiative)のコバルト調査帳票を用い、世間より注視されているリチウムイオン二次電池に対象を限定して調査を実施しています。
2015年度以降は、オムロングループとして初めて紛争鉱物調査を依頼する仕入先様に対し個別に説明を行い、調査にご協力いただいております。
2011年4月に一般社団法人 電子情報技術産業協会「責任ある鉱物調達検討会」に参加し、情報収集に努めると共に、業界としての取り組みに参加しています。2015年度からは毎年「責任ある鉱物調達検討会」が開催する紛争鉱物調査説明会の企画、運営に参画し、業界のサプライチェーンに対して紛争鉱物の取り組みの浸透を図っています。
オムロングループは、事業を通じた社会貢献として、より良い商品を開発すると共に、有事の際にも社会への供給責任を果たすことが重要だと考えています。供給責任を果たすために「災害は必ず起こる」という基本認識のもと、2011年度より調達BCP※の取り組みを進めています。
有事の際に24時間以内に事業影響を確認できる仕組みを構築し、確実に確認できるよう運用改善に努めています。また、部材が潜在的に持つ調達リスクを3ランクに分けて管理し、全部品において1か月以内に調達を再開できる状態の構築を目標に、在庫保有等の打ち手によってリスクを軽減させる活動に取り組んでいます。
2017年度に、最も高いリスクランクの部品はオムロンが在庫を一元的に管理できるよう、在庫管理の仕組みを構築・運用を開始しています。
昨今の新型コロナウィルス蔓延、地震や洪水などの自然災害、火災等の事故により多くの仕入先様に影響が生じましたが、管理している部材の生産地情報を基に早期にリスクを把握し、全社の購買部門が参画する対策会議を速やかに立上げ、仕入先様と対応を協議・実行することにより、現時点では大きな供給問題には至っていません。また、需給が逼迫した部材については、本社購買部門が主導して先行手配や在庫確保をすることにより、事業への影響の最小化に努めています。
オムロングループは、グループ内での人権侵害リスクの発生をなくし、すべての人が心身ともに安全で健康に働き、最大限の能力を発揮できることが、企業理念の実践、持続可能なサプライチェーンの実現に不可欠であると考えています。この考え方は、オムロングループの社員や派遣社員だけではなくグループ構内で働く業務委託会社の従業員も対象としています。入構時には、オムロンの人権方針や人権相談制度等の人権尊重の取り組みについて説明しています。また、委託会社の現場責任者に人権研修を行い、委託会社の職場内でも周知いただいています。委託会社はRBA基準において主要な1次サプライヤーと定義されており、オムロングループでもこの基準に沿った取り組みを進めています。